文章に限らず、ものごとは「伝え方が大事」だとよく言われます。
かみくだけば内容は同じなのに、言葉遣いや語尾の選択により、読み手が受ける様子は随分と変わってきます。
そこで今回は、少し前、工藤静香さんと小泉今日子さんがコロナ禍で投稿された文章を取り上げました。
それぞれInstagramやTwitterで炎上したわけですが、読んだ人からどう思われてしまったのか、そしてどう直せばこういう事態にならなかったのか。
いろいろな方が考察されているようですが、私なりの解釈をお伝えします。
ちなみに私は、ばっちりこのお二方の影響を受けている世代。
特に小泉今日子さんに関しては、本当に好きすぎて、キョンキョンのようになりたくてなりたくて、アルバムも持っていますしライブも行っていますし、ポスターも貼っていました。
オールナイトニッポンなどは眠気と戦いながら聴き、次の日には学校で彼女のようなしゃべり方になっていました。
そして彼女のことが好きすぎて、結婚記念日を同じにしたくらいです(ちなみに2/22でしたが、残念ながら彼女は同じ日に離婚されました…)。
工藤静香さんもしかり。
彼女の楽曲は今でもすべて見ずに歌えます。しかも振り付きです。
楽しかった大学時代のカラオケは、彼女がいなかったら成り立たなかったでしょう。
ということで、お二人を批判するつもりは毛頭ないことをお伝えしたところで、本題に入ります。
「上から目線?」工藤静香さんの場合
引用元:https://www.photo-ac.com/profile/209618
工藤さんがインスタにアップして炎上した文章は以下です。
「不要不急 海に向かうのはやめて下さい。現地の方々迷惑しています」
彼女はご主人の木村拓哉さんとともに、サーフィン好きで知られていますよね。
そして、この発信がされた頃は外出自粛が続いている真っ最中なのに、「人がいないだろうから大丈夫だろう」と、海辺に人が集まってしまいました。
私の予想にすぎませんが、工藤さんはお友達のサーファー仲間からきっと「海にたくさん人が来て不安…」というような声を聞いたのかもしれません。
ご自身も自粛された上に、好きなサーファーができないからもちろん海にも行けない。
そんな中で、私たちの大切な海に、こんな時に行くなんて信じられない! という思いだったのではないでしょうか。
工藤さんが伝えたかったことは、恐らく
「現地の人が困っているので、海には行かないでください。みんなで我慢しよう!」
というシンプルなものだったと思います。
しかし、勢いもあまってこういう表現になってしまい、ネットでは「上から目線」「なぜあなたが指示するの」という声が上がってしまいました。
今回の発信の目的は「上から目線で警告する」ではなく「海へ行かないでをお願いする」ということだったはずです。
そこで私はこんな風に書き替えてみました。もしこう伝えていたらどうでしょうか?
コロナ禍で、不要不急が続いていますね。
私も大好きなサーフィンができないのは悲しいですが、
現地の方の迷惑になるので我慢しています。
無事解除になったら、思う存分楽しみましょうね!
これだと、優しく伝わりませんか?
あー静香ちゃんも我慢してるんだな、とか、海に人が押し寄せたら、現地の人って迷惑するんだな…と、気づけるはずです。
炎上した文章に足りなかったのは「寄り添い感」だと私は考えています。
「私も悲しい」「私も我慢している」という表現はいろいろな意味で日本人らしいでしょうが、少なくとも炎上はしないでしょう。
そして「一緒に楽しみましょう」と付け加えることで、サーフィンや海が好きな人との共感も生まれると思います。
伝えているポイントは全く一緒。
でも書き方だけで、こんなに印象は違うんです。
政治への不安感が募る…小泉今日子さんの場合
次は小泉さんの例です。
これはいわゆる「アベノマスク」が配られた際、小泉さんのお宅に届いたマスクにカビがついていたらしく、そのことを発信した際に炎上した文章です。
人間だから間違えや失敗は誰にでもあるだろう。
一生懸命やった結果だったら人はいつか許してくれるかもしれない。
でも汚らしい嘘や狡(ずる)は絶対に許されない。
カビだらけのマスクはその汚らしさを具現化したように見えて仕方がない
印象としては「ちょっと攻撃的かな」という感じ。
彼女の場合は、最近政治に疑問や怒りを感じていらっしゃるようなので、余計にこういう厳しい文章になったのだと思います。
ですので、文章のポイントは「政治が不安定である」ということ。
カビがついていたということだけでは、ここまでの怒りにはならないと思います。
そこでこんなふうに変えてみました。
先日、無事マスクが届いたのですが、よく見るとカビがついていました。
もし、このマスクを小さなお子さんがしていたら…。そう思うと恐いです。
確かに忙しい時期なので確認が取れなかったのかもしれませんが、
今政治も不安定ですし、
カビだらけのマスクを見ていると、ますます悲しくなりました。
いかがでしょうか?
キョンキョンの「姉御肌らしさ」がなくなったというのはさておき……。
小泉さんは「政治に対する怒り」を伝えたかったのだと思うので、こうやって書くことで少なくとも炎上は防げたように思います。
「政治にもの申す人」という強い印象ではなく、「政治を変えたいと真剣に思っている人」という印象になったのではないでしょうか。
まとめ
今回は「炎上」についてお伝えしました。
もしかすると「この人らしさ」というのはなくなっているかもしれません。
それでも今の世の中で「炎上」はやはりプラスにはならないと思います。
芸能人であればバズることで注目を浴びるメリットもありますが、経営者さんや起業家さんにとっては、語尾ひとつがマイナスイメージになる場合もあります。
文章は「温かさや優しさ」も与えることができますが、言葉の選び方ひとつで、厳しさやきつさが何倍にも膨れ上がります。
なぜなら、聴覚からの情報と視覚からの情報の量は違うので、マイナスの感情を与えるレベルが違ってくるのです。
なるべくなら「優しく伝える」「共感してもらえる」文章を心がけたいものですね。