2時間サスペンスの再放送もすっかり飽きた10月第2週、
なんと! BS松竹で「金田一耕助シリーズ5話連続放送」が登場!
これは!
もう見るしかありません。
といっても…長年私は金田一シリーズ、特に市川崑監督の作品が恐くて恐くて。
これは優しい方、つまり総回診をする東先生の方の石坂さん。
私が金田一シリーズを知ったのは小学校2年生くらいだったと思います。
「子どもに恐怖感を与えるのは虐待」という概念なんてゼロの昭和時代、
そして角川書店の映画がぐいーーーんと伸びる時代。
「東映マンガ祭り」を観に行ったのに、予告編にこんなものが!
もう…トラウマにしかなりませんよ、これ。
だってね、父親とウキウキルンルンで映画館に来たんですよ。
なのに青沼静馬がやらかしてくれましたよ…。
でも、改めて大人になってから考えてみたんです。
「なんで恐かったんだろう」と。
そこで今日は、40年以上も私を苦しませた金田一シリーズが「何故こんなに恐いのか」
ということを、じっくり考察してみました。
1,恐怖の基本。「驚き」のため。
例えば皆さんがエレベーターに乗っていたとしましょう。
自分の降りる階で扉が開いて出ようとしたところ、扉すれすれに立っていた人と出くわしたらどうなりますか?
「ぎゃーーーーーーーー!」
ってなりますよね。
これは対象が人間以外だったとしても、例えば布だったり、箱だったり、犬だったりしてもビックリします。
人はびっくりした時に心臓が高鳴ります。
逆の意味での「吊り橋効果」とか「壁ドン」でラブな感じになっちゃうのと同じ。
金田一シリーズではとにかくいろいろなものにビックリさせられます。
だいたいは美女が「きゃーーーーー!」と叫び、その先には、自分が見たことのないものが登場。
しかもどアップ!
恐いに決まってます。
例えば、
「八つ墓村」では、ロウソクをはちまきで結んだ気の狂った人が砂利道を疾走、
ご存知「犬神家の一族」では、前述のスケキヨの足。
序盤のシーンでは、菊人形の首が人の生首になっていて、そのあとごろん。
「女王蜂」では、ただでさえ時計台の裏で人が死んでいるのに、
何かの拍子で死体が大きなゼンマイの上に転がり、
その後、ゼンマイに巻き込まれた腕がぴょーんと空中散歩。
「病院坂の首縊りの家」では、扉の先に風鈴に見立てた生首。
恐すぎて写真載せられません、というかPCに取り込む、いや検索するだけで恐いもん。
こんなの見せられたら、誰でも驚きますよね。
つまり私たちは「ビックリさせられて」恐いわけです。
もはやお化け屋敷と同じ理論! 吊り橋と同じ理論!
でも、金田一シリーズが恐いのは、もちろんそれだけではありません。
2,家が暗い。そして広い
こちらも視覚的なものです。
1の生首やら足やら腕が飛ぶ前には、必ず暗闇があります。
金田一シリーズは基本的に大きなお屋敷で事件が起こりますが、電気が発達してないから暗いのなんのって。
しかも広い。「ちょっと~」と呼べば誰かが来てくれるわけではない。それがまた恐い。
これ見ただけで恐怖を感じませんか?
何かや誰かを探す途中で「ゲッツ!」とダンディー坂野が飛び出してきたとしても恐いですよ。
暗いって、人間にとって、いや生き物にとっては恐怖ですよね。
先が見えないんですから。
恐怖の対象は「敵」つまり、自分に死やケガをもたらす存在です。
以前ひろゆきさんも「人間が一番恐ろしいものは死である」という理論から、
「もし幽霊が出たら、驚かずにじっと見る。3分もてばたぶん危害も加えてこないだろうし、相手も気まずい」
とおっしゃっていましたが、まさにその通り(ホントか?)
予想外のモノ、もしくは自分に危害を加えるものの存在を、生物そのものは恐れるのです。
それを倍増させるのが「闇」の存在というわけです。
3,字が恐い!どういうフォントなのコレ。
3つ目が字が恐いということ。
昔…こちらも私が敬愛する楳図かずお先生の話なんですが、
先生がデビューされた時、「画はもちろん字が恐い」と言われたそう。
恐い!
先生、一人で仕事していて恐くないのかなあ…。
で、金田一シリーズの字はこんな感じ。
ねえ、どういうフォント使ってるの?
デザイナーさん、本当に素晴らしいです。天才です。
これが、暗い映画館の画面いっぱいに広がった時の恐怖ときたらもう!
しかも黒字に白反転。
デザイナーさん、重ね重ね天才です。
あと、いちいち出てくる「漢字」が恐いんですよ。
「犬神」(犬神家の一族)とか
「病院」とか「首縊」とか(病院坂の首縊りの家)とか
「獄」とか(獄門島)とか
「悪魔」とか(悪魔の手毬唄)とか。
これ漢字にするから恐いんですよ!
ちなみにひらいて(漢字をひらがなにすること)みましょう。
「いぬがみ家の一族」
「びょういん坂の首くくりのいえ」
「ごくもん島」
「悪魔の手まりうた」
全然恐くない!
「獄門島」に至っては、ひょっこりひょうたん島感すら出てきた!
ではこれまでの「字体」「色」「漢字をひらがな」におふざけを加えましょう。
全然恐くない!
こういうキャバクラがありそうな雰囲気まで。
視覚って本当にすごいです。
そして、それを上手く表現して心理的効果を与えた演出さん、監督さん、デザイナーさん、天才です(3回目)
4,女優陣の顔が恐い!!!!
こちらも視覚的な話になってしまいますが、ざっと並べてみます。
高峰三枝子様
大好きな草笛光子さま♥
そして、白石加代子さま
いやあ…白石加代子さん、スマホサイズで見ても恐いよ。
白石さんは、もう出ているだけで恐くて、本当ごくごく最近まで恐かったんですが、朝ドラの「ひよっこ」で完全に恐怖が抜けました。
白石さんの映画、もっと見たかった(まだお元気でいらっしゃいますが)、私の40年を返してください。
5,設定が恐い
これはもう…時代的に仕方ないし、ドラマチックにするためのものですが、子どもにとっては設定が恐かった。
今SDGsの時代ですし、私も近代医療にお世話になっているので、言葉を選ぶのですが、
恐らく「近親で子どもを作った」という理由で、精神的な疾患ができ、
それを隠したいあまり、疾患のある人が座敷牢やら屋根裏に閉じ込められていること。
これ、私はとっても恐かったです。
今の医療であれば、ただの神経衰弱とか流行りのHSPなどで済まされることも、当時は「気が違ってしまった」とされ、
金田一シリーズの設定である、代々続く屋敷とか、大金持ちの家では噂になることすら御法度だったでしょうから…。
ああ、本当今の世の中に生まれて、こうやって仕事ができてよかったです。
ということで今日は冷静に「なぜ恐い」ということを述べてきましたが、
大学生の時にみんなでレンタルビデオで犬神家を見てた時も、マジ泣きして、友達にトイレについてきてもらったくらいの私が、
なぜこの「金田一ウイーク」を楽しく乗り切ることができたのか。
次回は「克服編」をお伝えして、どうやったら恐くならずに、金田一シリーズを楽しめるかのご提案をしていこうと思います。
ちなみに…文字フォントと白石さんの画像、PCで加工する際に正視できませんでした。
私の怖がりはまだまだ続きそうです。