カッコイイだけのキャッチコピーは、
誰もが知る大企業のみ可能
元も子もありませんが…私はキャッチコピーの仕事は、
なるべく断っています。
その理由は2つ。
1つ目は、ものすごく難しいから。
私の先輩のライターは、コピーを考える際、
他のライターさんの知恵も借りながら、
最低でも100個は考えるそうです。
私もたまに受けることがありますが、
1週間、寝ても覚めても考えます。
一般的に、キャッチコピーは10万円くらいからだと思いますが、
これだけ時間を要する訳ですから、
それだけ値段も高くなるわけです。
「短いから簡単でしょ」と思うのは大間違い。
例えばあなたが、何かの集まりに行った時、
「これから自己紹介をしてください。
名前、ご職業、仕事の主なメニュー、その仕事についた理由、
自分の仕事について魅力に感じる点、
他者との違い、あなたに頼むメリットを、10秒で!」
と言われているようなものです。
もちろんご依頼主の好き嫌いもあるので、
「こちらのワードの方が響く」とこちらが効果を見込んでも、
「その言葉は好きでは無い」という理由で使いたくない場合もあるでしょう。
「素晴らしいですね!さすが!」
と即採用されるのは、糸井重里さんか仲畑貴司さんか児島玲子さんくらいでしょう。
いや、糸井さんだとしても、推敲に推敲を重ね、
何度もやり直しを食らいながら、ひとつのコピーを作っていらっしゃると思います。
カッコイイだけのキャッチコピーは、
超絶有名な企業様だけに可能
これは2つ目の理由にも通じるのですが、
依頼する方があまりにも「かっこよく響くもの」
を求めすぎるからです。
例えば、私が
「あなたの人生が変わる文章講座」とか、
「1秒で買わせるホームページ作ります」
と書いたら、そりゃ飛びつく人も多いでしょう。
でも、そんな保証はないし、責任も持てない。
だから使いません。
同様に、意味が通じないようなコピーも、
使って大丈夫なのは大企業だけ。
例えば、1982年に糸井さんが作られた
「おいしい生活」
多くの方がご存知かと思いますが、
これは広告主が「西武百貨店さん」であり、
作ったのが「糸井重里さん」だから成り立つこと。
同様に、コピーとは違いますが、世界のトヨタのCMで流れた
「トヨタイムズ」も、
最初に「トヨタ」と大きく名前が入っているからできること。
もし私の名前が中田だったとして、
自分のところの宣伝ツールに「ナカタイムズ」と付けたら、
「はっ?ところであんただれ?」ってなりますよね。
ですから大企業でないかぎり、
かっこいい(だけ)のコピーはオススメできません。
それでも、カッコイイキャッチコピーが欲しかったら、
自分の仕事を超絶有名にするか、
もしくは大枚はたいて株式会社ほぼ日さんへ。
私は個人的にそう思っています。
「うちの店に毎日来て、たくさん買ってね」
を、上品にするとこんなふうになる
と、毒ばかり吐いてきましたが、
私が数多いお気に入りのキャッチコピーの中で、
「見習いたい」と思うのが、三越さんのコピー。
「飾る日も 飾らない日も 三越と」
日本人の好きな五・七・五でありリズムがいいのはもちろん、
飾る日=特別な日、特別な贈り物を買う時、お高いものを求める時
飾らない日=普段、日頃、いつも
つまりは、
「どんな日でも毎日三越に来てたくさん買い物してね」
という意味になるかと思います。
それを直接言わず、こんな上品に言い回す三越様はさすがです。
隠喩の鑑とでもいうべきでしょうか。
さて、そんなキャッチコピーですが、
コピーだけを頼みたいなら、ライターではなく
「コピーライター」さんに頼むといいと思います。
もちろんライターでもやりますが、
餅は餅屋。
お仕事の看板として掲げるほど大切であれば、
納期も1ヶ月くらい見て、
何度も何度も打ち合わせをして、
たくさんの言葉の中から、コピーライターさんと共に、
自社に一番ふさわしいものを見付けていってください。
とはいえ、実績やお人なり、仕事に関する考え方など、
「何をし、何を大切にしているか」
というキャッチコピーであれば、いつでも承ります。
気になる方は、ぜひ下記からお問い合わせください。